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2014年7月25日金曜日

看護教育の中での地域連携と、現実の地域連携

昨日、看護師を目指す彼女から、就職面接時に提示する課題「どんな看護をしたいか」の文章をみてくれと言われたので読んでました。

文章自体は別に問題ないし、表現のところで訂正はあったものの別だんこれといった問題もなく、これで提出すればいいよと助言を交えて話しておりました。

しかし、ふと文の内容をよんでいて不思議に思ったのが、看護の教科書に出てくる地域連携という言葉。

気にしなくてもよかったかもしれませんが、私自身保健師関連で地域連携、特に他業種との関わり、行政内での横の繋がりが果たせていない今、この地域連携というものをいかに看護の中に位置付けておくべきなのかということで少し考えていました。

彼女の文章からは、退院後もその患者さんが健康で生きる力を出すために、単に入院ケアだけに専念するのではなく、幅広い目でその患者さんが暮らす社会や生活を包括的にケアできるシステムを樹立させていくことがしたい、となっていました。多少飛躍して読んでいるかも知れませんが、私の中で彼女の言葉は大変素晴らしいことだなぁって思ったのです。

しかしながら前述したとおり、保健師でさえ地域連携が難しくなっている昨今の事情から、では看護の現場でこれがどこまで果たせるものかというところでは、なかなか厳しい課題であることは確かです。日々の業務に身を削り、それでもなお地域を視野に入れた取り組みをなそうとすれば、彼女の言葉通り他業種との連携は欠かせません。但し、他業種間での交流が病院内でどこまで果たせるものなのかとなった時、今まで以上に難しいのは確かです。

さて、彼女は面接時にどのような具体例からそれが発言できるのか、そこがみそなようなきがします。

日本民俗学会発表要旨

日本民俗学会用発表要旨

タイトル

地域保健活動と住民運動―愛媛県南予の「地区診断」と農村生活―

要旨
 本報告は愛媛県南予、特に旧広見町下大野(現北宇和郡鬼北町下大野)という山間部の農村で、昭和39年から行われている「地区診断」とその後の地域保健活動が農村生活にどのような影響を及ぼしたのかについて、行政の施策と農民の対応の双方から明らかにしたい。
  「地区診断」とは、県、保健所らによる共同保健計画の一つとして生まれた。活動内容は疫学調査や社会調査で地区のあり方を見ていく。課題はその時代ごとに異なり、また地域により様々な様相を呈している。この診断は、単に保健のデータを地域に提示するにとどまらず、住民がその後の下大野健康会議(診断後発覚した検討課題についての会議)や組集会(健康教育、住民の主体性を問うの実践の場)を通じて、地区全体の生活環境を自覚すること重点が置かれている。そのため、「地区診断」は住民にとって直に地域課題に触れたことで、より生活の変化に訴えるものであった。
  これを明らかにすることは、行政の事業という社会活動のなかにおいて住民がどのような立ち位置で物事を考えていたのかを、生活変化における人と社会の接合点から理解することに繋がる。具体的には、地域社会における問題をいかに解決し、それを住民自身がどう受け入れていったかというプロセスと、生活の変遷を地域または個人という中でいかに社会と錯綜していたのかを知る手立てになる。
  現在、地域保健活動は停滞しつつある。保健行政も様々な課題を各部署に細分化しながら、住民サービスにつとめている。しかしながら、これにも限界がある。地域の統計を把握はしていても、現場の生活の動向を見聞きできているかというと業務が煩雑でなかなか難しい。また、政府の見解として健康は個人の責任となりつつある現在、健康は個人志向により地域という枠組みではもはやなくなりつつあり、地域全体を通じた保健のあり方は暗礁に乗り上げてしまっている。このような状況下において、過去の保健活動、行政と地域社会と人々との結びつきを再読することは、地域保健を今後どう考えるのかという課題にも提言できるのではないだろうか。本報告はそのステップとして事例を紹介したい。

キーワード

地域保健活動、住民運動、生活疑問、社会教育運動