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2012年11月24日土曜日

『生活教育』の特性と「保健婦手記」

安曇野にてのメモ書き

 保健婦資料館所蔵の『生活教育』を拝読し、一つ気になったこと。『生活教育』という雑誌において「保健婦手記」はどのういう記事として扱われていたのか。その当時、保健婦の読み物または参考書として出されていた『保健婦雑誌』は、記事の特性からして専門的、学術的なものに対し、『生活教育』はどこかしら、そういった学術的な記述というよりも、保健婦の心構えのようなものがその特性となっている。細部の記載については現時点で判断できないが、『保健婦雑誌』は技術、学術系とするならば、『生活教育』は保健婦の規律、規範を重んじる精神系のものではないだろうか。その中では特に目につく記事が「保健婦手記」である。これは読者である保健婦による投稿で成り立っており、日々の業務で感じたこと、経験して学んだこと、困ったことなど様々な記述がなされている。また、この記事は選考会が開かれており、多数の投書から選ばれたものだとわかる。その選考理由も編集委員の意見としてまとめられている。編集委員の中には丸岡秀子の名も見られ、あらためてこの記述が社会教育的な側面を有していることがわかる。さらに、本誌は投稿者と委員との対面形式だけをとらず、広く読者からの意見や声を合わせて記述されているあたり(「おたより」欄)に参画型の取り組みがなされていることが考えられる。「保健婦手記」に書かれた活動の内容や心情は単なる発言に留まるのではなく、本誌を介した共有性をもった内容であり、各道道府県で働く保健婦全体に訴えかけるものがある。先の選考にみられるように本誌は、保健婦の教養にも使われ、意図的に選考し表彰することで、各人に保健婦の理想や規律を促している。「保健婦手記」はそういった意味においては、日々仕事に精を出している保健婦への教養と励ましを与えるものであろう。

上記のメモ書きは、11月22日に安曇野で私がメモ書きしたものをうつしたものです。私が保健婦資料館で拝読した『生活教育』の「保健婦手記」欄をどうみるのかということを考えてみました。雑誌にどういった特性があり、その記事にはどういった意図が見られるのかという点です。

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