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2009年10月19日月曜日

地域保健運動が抱えていた謎

 10月の調査も終了し、実りのある調査ができたはずでした…しかしながら、私の勉強不足と経験不足により、聞き取り調査は困難を極め、かなり話者サイドに引っ張られる形で終了しました。それがよかったのかどうかは、まだまとめていないのでわかりかねますがね。
 それより、今回の調査でのメインは、A保健婦の実態について調べることだったのですが、いろいろと彼女の周辺を調べていると、県や町行政、保健所、リーダー養成講座による各地区のリーダーたちと登場人物が増幅していき、結構まとめるのに苦労しています。しかし、こうして調べてみれば見るほど、千種町の地域保健運動(活動)が抱えていた問題の大きさに驚きを隠しえません。というか、なぜこの活動が奨励されなければならなかったのかというところで謎が多い活動でもあります。つまり、本来なら「地域の健康」を目指すための地域活動であったものが、途中から地域医療費の削減を目的としたものへと切り替わり、純粋に地域保健を考える活動というような形になっていないのです。活動には一本の筋道があるようには見えるのですが、かなり迷走しながら事業として確立していった過程が浮き彫りにされました。
 論文ではA保健婦のことがメインとなりますが、彼女のライフヒストリーの描き方にも少し考えるとことがあります。方法論としてのライフヒストリーといいますか、私がやりたいことは単に一人の女性にピントを合わせるだけでなく、その周縁に隠れた地域保健運動の実態とその歴史的過程を明らかにすることです。ですので、通常のライフヒストリー研究からは逸脱したモノの考え方になってしまうのでしょうが、何とかなるでしょう。