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2014年5月25日日曜日

助言者たるもの

先日、稲葉峯雄氏のお墓参りに同行させていただき、また蓬の会という稲葉氏を囲う保健師たちの会の方々から、稲葉峯雄氏についていろいろお伺いしました。

私は稲葉氏に対して、本著でしか存じ上げませんし、語りのなかの人となったしまった今、そこから得られる稲葉峯雄像について拝聴できることは大変喜ばしいことで、会や奥様、娘様とのお話は私にとって新たな稲葉峯雄氏の発見でした。

その話のなかで、蓬の会の面々が口を揃えて稲葉氏を評するに、稲葉峯雄氏という人は、器が大きく包容力が豊かで、人の話を聴くこと、耳を傾けそこから学ぶことを一生懸命なさっておられた方だと言うことを聴きました。

稲葉氏の著書『草の根に生きる』のなかで、稲葉氏は助言者たることについて、助言者は耳を傾けることにこそあり、そこでキラリとひかるものを見つけ、それについて提言したり、全体を俯瞰することにこそ役割があるとされておられます。

蓬の会で稲葉氏は皆が読書会を通じて思うこと、また地域の現場であったことをレポートするときに、その話をじっくりと聴き、その上で自身が思うこと、感じることを述べられておられたと聴きました。

そのときハッとしました。私はこれまでの調査で、稲葉氏のこの助言者たることについて理解しているつもりで、話者との語りに臨んでおりましたが、どこか自己満足に終わり、話者の生活疑問を聴くことができたか、話者に私の顔よりも私と話者自身の言葉にキラリとしたものが見出せたかどうかと言う点で、まだまだ稲葉氏の背中は遠いなぁと思う限りでした。

助言者たるもの、聴き耳を育て、相手を話のなかで育て、話を相手のものにすることこそ意義がある。

多分、稲葉氏の心掛けとしてこの言葉が一番であったのではないでしょうかね。