昨今、「民俗学とは何ぞ」という超大な質問に自分なりの解答を示してきましたが、今回はその問題に直面している私の論文「ある保健婦の足跡から見る地域保健活動の展開」についてお話したいと思います。
タイトルからして「ザ・社会学or生活学or家政学」っと思う方もおられるでしょう。
その答え、間違っていないですよ。私としてもこの研究は上記の社会科学の分野からの学際的研究として行おうとしているわけですから。まぁ、どちらでもいいと言えばいいです。ですが、私は民俗学者として研究員として民俗学を学ぶ大学にいます。ですので、立場をちょっと明確にした方がいいのじゃないかと思うわけです。そのことを指導教授に指摘されたとき。「これは民俗学じゃないね」と言われやはりショックを受けました。当然といえば当然の反応です。その時発表したのは地域保健活動の動向のみだったわけですから…これを聞く限りではだれも「民俗学」とはおもわないでしょうね。
そこで、私なりに考えてみたわけです。「民俗学」を時間的空間的なものにおける暮しうる社会とするのであれば、地域生活の変遷過程における「他者」(私の場合は地域保健活動もしくはそれを率先した保健婦)の介入も考えるべきなのではないでしょうか。これまでは地域保健活動の動向に熱を入れていましたが、それだけではなく地域社会にそれがどのように介入していったのかという時系列的な介入過程を示すことで、それなりに民俗学としてなりうるのではないかと思うわけです。
簡単にいえば、「地域の生活への介入」それをなした人物と住民との関係性を見ることにあります。目的としての地域保健活動の展開もさながら、保健婦(「他者」)と地域住民との関係を描くことでよりリアルにそれを描くことができるのです。まぁ付け焼刃といえばそうかもしれませんが、私としては本気でこれを信じています。まずこれを教授に提案してみて、意見を得たいと思います。